公務員に必要な法律、地方自治法施行令167条の2
公務員試験に合格して、働き始めると法律の知識を求められることが多くなります。特に、地方自治法施行令(ちほうじちほうしこうれい)は一番目にする機会が多い法律です。
その中で、今回は地方自治法施行令167条の2(随意契約)について紹介していきます。
地方自治法施行令167条の2の内容
<地方自治法施行令167条の2の内容>
(随意契約)第167条の2 地方自治法第 234条第2項の規定により随意契約によること ができる場合は、次に掲げる場合とする。
1 号 売買、貸借、請負その他の契約で、予定価格(貸借の場合は予定賃貸借料の年額又は 総額)が次の各号に掲げる額を超えないものをするとき。
(1)工事又は製造の請負 130万円
(2)財産の買入れ 80万円
(3)物件の借入れ 40万円
(4)財産の売払い 30万円
(5)物件の貸付け 30万円
(6)その他のもの 50万円
2 号 不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき。
3 号 障害者支援施設、地域活動支援センター、障害福祉サービス事業を行う施設、小規模作業所において製作された物品を買い入れる契約、及び上記施設に加えて、シルバー人材センター連合、シルバー人材センター等から役務の提供を受ける契約をするとき。
4 号 新たな事業分野の開拓を図る者が新商品として生産する物品を買い入れる契約をす るとき。
5 号 緊急の必要により競争入札に付することができないとき。
6 号 競争入札に付することが不利と認められるとき。
7 号 時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき。
8 号 競争入札に付し入札者がないとき、又は再度の入札に付し落札者がないとき。
9 号 落札者が契約を締結しないとき。
地方自治法第234条第2項の規定により定められる167条の2
上記の条文にある通り、地方自治法施行令167条の2は地方自治法第234条第2項の規定を細かく定めているものです。
1項 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。2項 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
2項によると、随意契約は「政令で定める場合に該当するときに限り」となっており、この政令が地方自治法施行令を意味します。
随意契約可能な場合ってどんな時?
随意契約が可能な場合は大きく分けて4つあります。
- 価格が規定額を超えないとき
- 性質、目的が競争入札に適さない場合
- シルバー人材センター等と契約をするとき
- 緊急の必要により競争入札に付することが出来ないとき
その中で一番多く利用されるのが、167条の2 1号の「価格が規定額を超えないとき」です。例えば市役所で使用する文房具やコピー用紙などを購入する場合、1点あたり数百円なので、財産の買い入れ上限の80万には満たない為、随意契約が可能となります。
次に多いのは、167条の2 3号シルバー人材センターなどとの契約です。障害者雇用や高齢者雇用の観点から、随意契約が可能となっています。
また、167条の2 2号性質・目的が競争入札に適さないものというのは、ソフトウェアを購入して、その保守業務の契約を行う場合(基本的にはソフトウェア開発業者しか保守業務は行えない為)などが考えられます。また、プロポーザル形式のように価格競争ではなく、提案内容で業者選考を行う場合も適用されます。競争入札とは入札価格での競争という意味であって、それ以外の要素を比較する場合は競争入札とは言わないからです。
災害対応の時は、地方自治法施行令167条の2 5号
167条の2 5号の「緊急の必要により競争入札に付することが出来ないとき」は災害対応時に適用します。
競争入札して落札者が決定するまでの期間は最低でも1週間以上かかる為、災害対応時のように緊急で業者に作業してもらう際には5号の規定により迅速に業者を動かして災害対応を行います。
業者との契約は、基本的に一般競争入札で行う
市役所や町村が契約を行う場合、基本的に一般競争入札によることとされます。その中で、契約金額や緊急性の要件を元に随意契約を可能にするのが167条の2です。
どのような契約であっても随意契約が可能になってしまうと、行政職員と業者との癒着の原因になったりすることから、基本的に一般競争入札を採用して、その例外として随意契約が設けられています。